巻頭言(Vol.32 No.2)2010.2.18
昭和六十三年一月の創刊号(通巻五十六号)から編集人を引き受け、二月号より、巻頭言を担当した。以来、ある一時期と、ナイルを融合した一年七ヶ月を除いてほぼ平成の時代を書き継いで来た。平成ももう二十二年を数える。思えば長い年月だった。一番下の娘はその時四歳、もう二十六歳になる。私の娘が成長したように、果して太陽の舟短歌会は成長したのであろうか。あまりに身近すぎて私と、あるいはもう身体の一部になっていて、私にはその成長が分からぬらしい。
阿部先生は何を書いても何一つ批評批評らしい事はおっしゃらなかった。時折、冗談めかしく「君の巻頭言は格調高いね」とおっしゃる。それが何よりの力であり恐怖だった。しかしそうおっしゃって下さる先生を失なってはや九年、無我夢中の毎月だった。今思い返しても何も浮かんで来ず、目の前に毎月の雑誌が積まれているだけ。幸いに六年前に松岡さんが編集を引き受けて下さった。大きな荷物をつ下す事が出来た。私が巻頭言を続けて来れたのも、松岡さんが編集を引き受けて下さったから。
そして来月から、この頭言を松岡編集長が受け持って下さる事と成った。なぜもっと早くに引き渡さなかったのだろうと、自分の迂闊さに愕然とする。松岡編集長は、私などより遥かに学識も高く人生経験も豊かな方。これから太陽の舟短歌会が進む方向に巨大な燈台となって豊かな灯かりを灯し、私達を導いてくれるに違いない。私は今からそれが楽しみでわくわくしている。最後に長い間私の頭言を読んで下さった会員の皆様に衷心よりお礼申し上げて筆を置く事とする。 (髙﨑)
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