会員のブログ
巻頭言(Vol.32 No.1)2010.1.08

初春を言祝ぎ、一年の御多幸を心より祈念申し上げます。
 「日本感性工学会」という学会をご存知だろうか。平成十年創立のまだ若い学会だが、急速に会員が増えているという。その中に「感性哲学部会」という部会がある。その位置付けは「衣・食・住から環境・生命・情報にいたる感性のかかわる領域での、人間と社会のビジョンを作るコンセプト・ワーク」だ。感性とは外界からの感覚情報を受容し、経験に伴う刺激に反応するもの。また、感受性や情意欲求、感情、情緒などを含む心の能力。しかし、感性は心に深く感じる能力であるとともに「するどい感性」や「豊かな感性」などと、単に受動的なものではなく、むしろ創造性をもった能動的な能力と考える。したがって、感性工学の研究においては「センス(感性)は情報量に比例する」と定義する。
 私達は短歌を批評する時に、その感性は作者天与のものと表現しがちであるが、感性は決して天与のものでは無く、作者の日々の努力の賜であると改めて知らされる。したがって、私達は努力する事によって、豊かな情報量(学問・知識)を獲得し、感性が研かれその結果として良い歌を創作する事が出来る。
 江戸時代初期の読み物作者・寒河正観は、その著「子孫鑑」の中で、「下手は上手の下地なり。下手よりだんだん上手になるなり」と述べている。私は自分が決して感性の豊かな人間ではないと思っていたが、今年は一念発起、感性を研いて良い歌を作ろうと思う。(髙﨑)

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